「市民と法」は、司法書士向けに発刊されている雑誌で、年間6回、渋谷区恵比寿にある、民事法研究会が発刊しています。
私はこの研究会とはご縁が深く、15年ほど前に、司法書士がADR(裁判外紛争解決手続)の導入期に、とあるシンポジウムのパネリストとしてお招きいただいた流れから、当時、月刊司法書士に「司法書士のための 苦情学」を1年間連載させていただきました。そのご縁は次に続き、弁護士升田純先生と民事法研究会の田口社長の3名の合作「モンスタークレーマー対策の実務と法」を平成21年1月19日に出版していただきました。田口社長は残念ながらご逝去なさいましたが、升田純先生はお元気です。今思えば、とんでもない雲の上の方とお話をしており、法律に絡むような出版物を出させて頂いたことは、生涯の記念すべき幸福でございます。
今回、この号に「司法書士のためのカスハラ対応の視点と実践」を、約1万文字で執筆させていただきました。カスハラ問題に関しては、元はクレームから始まり、ハラスメント全盛となった今、企業はある意味カスハラとの戦いの様相を呈してきました。そのカスハラが被害者であった場合、司法書士を頼って相談に来たら、どんな視点で判断するのでしょうか。それを解いてみました。このカスハラは拡大し、最終的には役所が舞台となります。現実には、早い時期から役所が中央舞台でした。しかし、相手は住民、そうでなくとも口の悪い人から「税金で食っている公務員」と言われる始末。とうてい強い対応は出来ません。そればかりが理由ではないと思われますが、この10年で公務員の退職者が倍増になっているのです。
運よく「カスハラの正体」(中公新書ラクレ)を執筆し発売しましたが、今は本が驚くほど売れないことを実感しています。役に立つ本であることは事実、この「市民と法」と共に一読いただけたら幸甚にございます。